「原価率50%と言っても、すべてのネタが50%でないところがミソです」と語るのは、回転ずしチェーンの仕入れ担当者だ。
「回転ずしの客単価は約1000円。その中でいかに原価率が高いネタを食べて満足度を上げてもらい、低いネタも注文して儲けを出させてもらえるか。そのバランスが重要なんです」
それなら原価率が高い=お得なネタをおなかいっぱい食べたい! というのが消費者の心理というもの。前出の仕入れ担当者がしぶしぶ明かす。
「原価率で言うと、業界では、“ウニ、マグロ、イクラがトップ3”なのは常識です。それぞれ売価100円に対して、85円、75円、70円ぐらいでしょうね。それに続くのが、ハマチ、カツオ、サーモン、タイなどのグループで65円ぐらいです。このあたりは平均の原価よりはるかに高い」
ちなみに、ここでいう原価には一貫あたり20gのシャリ5円も含まれる。詳しいネタ原価率ランキングは別掲の表をぜひ参考にしていただきたい。別のチェーンの商品担当者はこう話す。
「冷凍していない“生”の商品はグンと原価率が上がります。冷凍サーモンは原価60円で出せても、生サーモンは80円することもある。そのほか、生ホタテや生エビなども原価率が高い」
テレビCMに登場する期間限定のフェア商品は総じて原価率が高く、“売れば売るほど赤字”というものもある。
「大手チェーンでたまに『大トロ一貫100円』というキャンペーンがありますが、これは文字通りの出血大サービス。ズワイガニやフグのフェアも赤字覚悟です」(前出・仕入れ担当者)