投資情報会社・フィスコが3月16日~3月20日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済への影響は避けられず、米連邦公開市場委員会(FOMC)は大幅利下げに踏み切る公算だが、市場は0.50ポイント以上の利下げも織り込み済みのようだ。大規模財政出動への期待は残されており、利下げ後にリスク回避のドル売りが再び強まる可能性は低いとみられる。
世界保健機構(WHO)は「パンデミック」(世界的流行)を認めたことで市場心理はさらに悪化した。リスク資産などを現金化する動きは続く可能性があるが、日本国債や日本株式の売却が一服した場合、ドル買い・円売りの取引は縮小し、ドル相場を下押ししそうだ。米国株式は2008年のリーマン・ショック以来となる弱気相場(高値からの下落率が20%を超える)に入った。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大による市場への影響を抑制しようと、豪準備銀行(中央銀行)、カナダ中央銀行、欧州中央銀行(ECB)は相次いで緩和的な政策に舵を切っている。日本銀行は今週開催の金融政策決定会合で一段の緩和を進めるが、政策余地は乏しいとの見方が多いようだ。それでも、高い水準の流動性を維持することで信用収縮の発生を防ぐことが期待されている。
また、財務省・金融庁、日銀の三者は市場動向を注視しており、投機的な円買いが大きく広がる状況ではないとみられる。トランプ政権が打ち出した景気刺激策は議会との調整は難航が予想されるが、市場の期待は残されており、議会で景気刺激策への具体的な動きがみられた場合、リスク選好的なドル買いが強まるケースもあり得る。