JR山手線49年ぶりの新駅として高輪ゲートウェイ駅が華々しく開業した3月14日、全国では春のダイヤ改正に伴って3つの駅が廃駅となった。
JR北海道では、根室線の古瀬駅と釧網線の南弟子屈駅。両駅の最近5年間の1日あたりの平均乗車人数はたった1.2人だった。
1995年にJR全線、2005年には私鉄も含む日本全国全駅下車を達成したトラベルライターの横見浩彦氏がいう。
「古瀬駅は元々、信号場という列車を交換する停車場でした。そこから無人駅に転用された。降り立つと人の気配のない“非日常”の世界がパアッと広がる。その雰囲気がとても魅力的でした」
南弟子屈(みなみてしかが)駅は1953年公開の大ヒット映画『君の名は』のロケ地として鉄道ファンに知られている。
やはり廃駅となったJR東海・参宮線の池の浦シーサイド駅は、伊勢神宮の玄関口である伊勢市駅から鳥羽駅に向かう途中にある、海水浴客のための夏季限定の駅だった。
「1989年7月、池の浦海水浴場を訪れる多くのレジャー客の利便を図るとともに、参宮線の活性化を図るために開業した臨時駅です。2017年までは臨時停車していましたが、ご利用がわずかで、臨時停車取り止め後の2シーズンの状況を踏まえて廃止の判断をしました」(JR東海広報部)
高輪ゲートウェイ駅の初日の利用者は5万4000人にのぼったというが、それぞれに魅力のあった“人のいない駅”は、その歴史に幕を下ろした。
※週刊ポスト2020年4月3日号