しかし、伝染病への罹患が労災保険給付の対象になるかは別問題。業務に起因する疾病は労災になりますが、その中に「細菌、ウイルス等の病原体による疾病」として5類型があります。今回の新型では「診療、看護または研究の目的で病原体を取り扱う業務による伝染病疾患」か「その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病」にあたるかがポイントになります。
前者は、医師や看護師などが治療などに携わって感染すれば、労災になります。後者に関して厚労省は通達で、業務の性質、感染機会と業務の関係、医療業務以外の感染リスクの低い感染症かなどの諸点を踏まえて業務起因性を判断するよう指示しています。風土病や伝染病など危険な業務に従事した結果、感染の場合は労災保険の適用があると思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2020年4月3日号