単にもともと期待されていた経済効果がスライドするだけでなく、日米をはじめとする各国が今回の問題を受けて打ち出す大規模経済対策との相乗効果で、1~2年後の五輪に向けて、大きな成長が望めるとみる向きもある。株式評論家の植木靖男氏はこう分析する。
「世界中で金融政策と財政政策をフル稼働した景気対策が打たれることになります。米国ではトランプ大統領が大規模減税・インフラ投資を打ち出し、日本でも財政赤字を度外視した経済対策に乗り出すことになる。
マーケットは危機に際しては過剰に反応して下げ、そのぶん急激に戻すのが常です。新型コロナの感染拡大に歯止めが掛かり、世界規模の景気刺激策によって新たな需要が生まれれば、中長期的に見て日本の株価も危機が起きる前の日経平均2万4000円台を大きく超えていく可能性がある。
そうした“新型コロナ克服バブル”の牽引役となり得るのは生活必需品に絡む製造業や、IoTやAIの普及で成長が望める半導体関連産業。都市圏を中心に建設・不動産業も期待できます」
まさに東京五輪が“世界がウイルスに打ち勝った象徴的イベント”になるというシナリオだ。
※週刊ポスト2020年4月3日号