新型コロナ対策で吉村洋文・大阪府知事が「大阪・兵庫間の不要不急の往来を控えてほしい」と訴えたことを受けて、井戸敏三・兵庫県知事が「大阪はいつも大げさ」と名指しで批判するなど、両知事によるバトルが勃発。奇しくも両者にある深い溝が浮き彫りになった。
関西以外の地域の人々は、大阪、兵庫などを一括りにして“関西”と認識するが、当の大阪人、兵庫人はこれが気に入らない。
兵庫県宝塚市に生まれ、地元の報徳学園(西宮市)で夏の甲子園で優勝、ドラフト1位で大阪の近鉄バファローズに入団した金村義明氏が、大阪と兵庫の違いをこう語る。
「自分が生まれ育った西宮市や宝塚市、尼崎市などの阪神地区は兵庫でも大阪みたいなもんですわ。尼崎は市外局番も大阪市内と同じ06ですからね。ただ、近鉄に入団して大阪の藤井寺に13年住んだんですが、藤井寺球場の河内弁のヤジには圧倒された(笑い)。まあでも、大阪も住めば都で、言葉は汚いがエエ人が多いからね。神戸みたいに、言葉はキレイだが、腹の中は違うということはなかったね。
兵庫といっても神戸だけは違って、自分たちはハイカラさんやという独特のプライドを持っている。関東でいう横浜みたいなところで、昔から世界と繋がっているという意識のある港町。南京町の中華街があって貿易で栄えて独特のファッションをもったオシャレな街という意識が強い」
そこが大阪人からすると、“鼻につく”ということになる。小学生時代から大阪で生活している関西大学名誉教授の宮本勝浩氏は、こう話す。
「神戸の人は『大阪と一緒にせんといて』というけど、ホンネで生きている大阪から見れば、『エエ格好しいやな』『ハイカラぶってるな』と見えるんちゃいますか。大阪人は人を笑かさなあかんという使命に燃えているから、話にオチがないと“なんやそれ”ということになりますからね。だから神戸の人が上品ぶって見えるんです」