戸松信博の明日の爆騰株を探せ!

TIS:キャッシュレス推進を追い風とする、好ファンダメンタル銘柄

TIS(3626):市場平均予想(単位:百万円)

TIS(3626):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 TIS(3626)は、1971年創業、2008年設立の独立系大手システムインテグレータ(SI)で、連結子会社40社及び持分法適用関連会社67社で構成される事業持ち株会社です。傘下に、インテックをはじめ、アグレックス、クオリカ(コマツ系)、AJS(旭化成系)といったSIを擁し、業界第4位の売上規模を誇ります。

 主な事業内容は、IT投資に関わるコンサルティングから、システム開発、アウトソーシング、クラウドサービスなど、企業のIT投資に関するサービスをトータルで提供しています。

 システム開発では特に、クレジットカードをはじめとする決済系システムを得意としており、カード基幹システムの開発実績では50%の圧倒的トップシェア、またブランドデビットカードのシステム開発においても約80%のトップシェアを誇ります。

 足元の業績では、金融分野における、スマホ決済など決済システムが順調に推移しているほか、産業、製造業においても拡大が続いています。企業におけるIT活用が重要性を増す中、幅広い分野に広がる顧客基盤を有しており、旺盛なIT投資需要を取り込むことが出来ていると言えます。

 利益面でも、不採算案件の抑制など生産性向上策が効いており、売上総利益率が改善しています。3Qでは過去最高の25.3%に達しました。構造転換のための先行投資費用が嵩みますが、堅調な事業推移から生まれるキャッシュフローや増益効果で吸収し、今期は9期連続増益の見通しとなっています。中期的にはクレジットSaaSの成長によるストック収益の拡大と利益率向上も見込まれ、見通しは総じて明るいです。

 日銀短観(2019年12月調査)のソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)においては、前年度比10.6%増となるなど、事業環境が良好な中受注状況も順調で、中期経営計画の最終年度、2021年3月期に掲げる「営業利益430億円、営業利益率 10.0%」の達成見込みは高い状況と言えます。

注目ポイント

 財務面も安定しており、自己資本比率は66.0%(前期末62.0%)で、実質無借金、流動比率も2.4倍という健全な内容となっています。

 同社は中期経営計画において2021年3期までの3年間で最大800億円の成長投資枠を設けながら、同時に財務目標として「自己資本比率50%以上、DEレシオ0.5倍程度(実績値0.09倍)」を掲げているのですが、それをすでにクリアしている点も評価されるところです。

 また、利益成長が顕著であることから、ROEは12.1%(2019年3月期実績ROEは11.5%)となる見通しとなっています。実現すれば、中期経営計画の最終年度目標値を1年前倒しで達成することになります。

 なお、コロナウイルスの影響ですが、顧客企業のIT投資が後回しとなる可能性は否定できず、その点は注意が必要と言わざるを得ません。足元の業績、業界の見通しの良さ、市場ポジションなどを総合評価すると、好ファンダメンタル銘柄であることに変わりないのですが、市場の見通しについては、経済状況を踏まえる必要があります。

【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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