携帯電話、メール、SNSなど、連絡方法が多様化する中、難しいのが仕事とプライベートのけじめ。休日に上司から業務連絡を受け取ってガックリした経験がある人も多いだろう。近年では、休日などに連絡が取れない“つながらない権利”を認めよという動きもあるが、上司はこれを認めるべきなのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
管理職です。若手社員の仕事の取り組み方に納得ができません。許せないのは【つながらない権利】を主張すること。休日や有給休暇の際、会社からの連絡に応じないというやつで、取引先にアクシデントが発生した場合、その権利を堂々と主張されても困るだけ。それでも会社は受け入れるべきでしょうか。
【回答】
休日や休暇中の部下に連絡を取るのは相談したり、業務の準備をさせたり、業務を行なうよう指示するためです。いずれも時間外労働を要求することになります。連絡を取って業務をさせれば、時間外労働になります。時間外労働に関する労使間の三六協定に反しない限り、時間外手当等を払い、終業後や休日の業務命令もできますが、有給休暇中はできません。
こうした連絡を受けることを義務付けて拒否を認めないとすれば、待機を命じることになります。休日でも業務命令に即応するような態勢で会社の連絡を待っているのであれば、労働者は会社の指揮命令下にあると解される可能性があります。その場合、休日という不活動時間でありながら労働時間性が認められ、時間外労働として時間外手当が必要になります。もちろん、その場合でも三六協定が必要で、その制限を受けます。