他方、連絡を取って業務を要請しても、労働者が自由に拒否できる場合は、そもそも労働者側も待機して連絡を待っている義務はないので、会社の指揮命令下にはなく労働時間ではありません。とはいえ、断わりづらい環境になっており、実際に頻繁の連絡を取って呼び出したりしていると、労働時間性が問題になるかもしれません。
以上の通り、もともと有給休暇中の部下を働かせることはできませんし、休日や就業時間外であっても、部下に自発性を期待できない限り、業務に関して常時連絡可能にすることを求めても、やはり無意味ということになります。
就労時間外は労働から解放され、自分のために使いたいという風潮は抗いようのない趨勢です。例えば、この回答をヒントに人事体制を再構築、部下が自分の業務に責任感を持ち、自発的に対応するよう育てていくしかないと思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2020年4月17日号