コロナ禍で国内外の往来が途絶えても、営業を止めることは考えていないというアパホテル。「赤字でも持ちこたえる十分な体力がある」と語る創業オーナーでアパグループ代表の元谷外志雄氏に、その強みを聞いた。
──どうやって高利益率を実現しているのでしょうか?
元谷:私は故郷である石川県の小松信用金庫に勤めたあと、注文住宅販売会社を創業しました。その頃、私は設計も手がけていたので、そのスキルを身につけることができました。今でも、立地の選定やホテルの基本設計は私が指揮しています。
無駄な共用面積を削って1部屋当たりの面積を減らし、効率的に客室を配置することで他のチェーンよりもホテルの部屋数を1~2割増しに設計する。これによってホテル経営を効率化し、利益率を押し上げているのです。
また、「アパホテルは全国に満遍なく展開している」というイメージを持たれているかもしれませんが、実際は違う。
最も需要が見込める東京23区、それも繁華街の駅直結か至近なところに集中出店してきました。ちょうど10年前の2010年からスタートした、社内で「頂上戦略」と呼んでいる方針がそれです。需要の多い大都市でドミナント戦略(※地域を絞って集中的に出店する経営戦略)を取ることも、高効率化の理由です。
──それ以外の強みは?
元谷:もうひとつ、公式予約サイト「アパ直」も大きな武器です。他のサイトと比較しなくても最安値で予約できる。
かつて外部サイトに支払っていた手数料を減らし、その分をテレビCMなどの広告宣伝費に充てています。それが認知度アップにつながっている。