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年金改正で「繰り上げ受給の減額デメリット」が軽減、月1万円アップも

繰り上げ受給で年金額が「月1万円」アップも(イラスト/福島モンタ)

繰り上げ受給で年金額が「月1万円」アップも(イラスト/福島モンタ)

 現在議論が進められている年金制度改正では、老後の生活設計を考える上でいくつか重要なポイントがある。『週刊ポストGOLD あなたの年金』より、“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が「繰り上げ受給」の大きな変更点について解説する。

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 年金繰り上げというと、「早くもらえても毎月の受給額が少なくなってしまう」と抵抗を感じる人が多いのではないでしょうか。

 しかし、年金制度は“細く長く”でも、“太く短く”を選んでも平均寿命までの総額はあまり変わりません。繰り上げで毎月の年金額は少なくなっても、トータルで考えると決して損ではないのです。

 さらに制度改正で「繰り上げ」に大きなメリットが加わります。繰り上げには、65歳より早くもらい始めるほど受給額が減らされていくルールがあります。受給開始時期を1か月繰り上げるごとに0.5%ずつ減額され、1年で6%、5年で30%減額されるというルールです。この現行制度では年金月額約16万円の人が「60歳繰り上げ」を選ぶと受給額は30%減らされて約11万円になるのです。

 新制度ではこの計算方法が変わり、1か月繰り上げるごとに減額されるのは「0.4%」になりました。1年で4.8%、5年で24%となります。60歳からの受給額は24%減の月額約12万円になるわけです。

 現行制度と比べて「月1万円」増えるわけですから、60歳から男性の平均寿命の82歳までの22年間で計算すると、今までと比べてざっと260万円ほど得することになります。繰り上げを選ぶメリットが大きくなるのは間違いありません。

 まだ現役でつき合いが多い60代は最も生活費がかかると言われますが、その60代にもらえる年金を多くするには繰り上げが有効です。

※週刊ポスト2020年5月1日号増刊『週刊ポストGOLD あなたの年金』より

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