パート主婦が働き方を選ぶときに問題となるのが「106万円」や「130万円」の収入の壁だ。年収がこの“壁”の金額を超えると、給料から社会保険料を徴収されるようになったり、夫の税金が増えたりする。そのため、パート主婦には勤務時間を調整する人が少なくない。だが、この“壁”を知っておけば、夫婦の年金額を増やすこともできる。
実は、妻の収入には6段階もの壁があり、非常にわかりにくい制度になっている。そこで、どんな壁があって、働き方を選ぶときにどんな注意が必要か、『週刊ポストGOLD あなたの年金』から紹介しよう。
◆「妻の収入」に課税される壁
金額が低い方から順番に見ていくと、まず「妻の収入」に税金がかかるかどうかで2段階の壁がある。
妻の年収が「【1】100万円の壁」を超えると住民税が取られ、「【2】103万円の壁」を超えると住民税+所得税が取られる。といっても、年収104万円の人の税金は合計8500円程度だから、“壁超え”を気にして働き方を制限する必要はない。
◆「厚生年金加入」の壁
次にパート主婦(3号被保険者)が厚生年金に加入しなければならなくなる収入の壁がある。この壁を超えると夫の社会保険から外れ、自分の給料から社会保険料(厚生年金と健康保険の保険料)を源泉徴収されるため、手取りが大きく減ることに注意が必要だ。
基準は勤務する会社(事業所)の規模によって2段階に分かれる。
現在は大企業(従業員501人以上)勤務の場合は「【3】106万円の壁」(月給8万8000円以上)、中小企業(500人以下)勤務なら「【4】130万円の壁」を超えると社会保険加入義務が生じる。
しかし、今回の年金改正で厚生年金加入の企業規模の基準が見直され、2022年10月からは「従業員101人以上」、2024年10月からは「従業員51人以上」の中小企業に勤務している人でも、「106万円の壁」を超えると厚生年金加入になる。
だが、加入できることにより、年金が増えるメリットがあることも忘れてはならない。
◆「夫の税金」が増える壁
さらに妻の収入が「【5】150万円の壁」を超えると、夫の税金が安くなる「配偶者控除」が縮小され、「【6】201万円の壁」を超えると配偶者控除はゼロ。夫から取られる税金が高くなる。
※週刊ポスト2020年5月1日号増刊『週刊ポストGOLD あなたの年金』より