腐敗臭は部屋の外にも拡散するため、周辺住民にも迷惑がかかる。当然、早急な消臭や除菌、清掃が必要だ。通常は遺族がやらなくてはならず、遺族がいない賃貸住宅であれば、大家などがその役割を担うことになる。しかし、素人が安易に部屋の中に立ち入ってはいけないと、佐々木さんは釘を刺す。
「孤独死があった部屋には、細菌やウイルスが蔓延している可能性があります。いまなら、新型コロナウイルスによる肺炎などで亡くなった可能性もあります。ですから、素人が対策を取らずに入るのは、とても危険なのです。遺体を発見したらまず警察に連絡し、遺体が運ばれた後、絶対に部屋には入らず、すぐに特殊清掃業者を呼んでください」
『まごのて』が現場で最初に行うのは、薬剤を使った空間の除菌だという。その次に遺体の跡や汚れを除去し、その後、においを消すために再度、空間除菌をする。2~3時間で、家族や大家が危険やストレスなく部屋に入れる状態になるという。この一次処理の後、遺族による貴重品の持ち出しなどが終わったら、本格的ににおいの除去や清掃に着手する。場合によっては清掃というより、家を半解体するレベルになる。
「解体するかどうかは、体液がどこまで染みているかによります。部屋の奥から玄関まで流れてきていることもありますし、石膏ボードの壁は、液体を吸いやすいので、遺体が壁に寄りかかっていた場合、壁中に体液が染みわたってしまいます。そうなると、壁を壊さないとなりません。床に染みた場合は、床板をはがし、その下のコンクリートにまで染みていれば、大掛かりな解体や清掃が必要になります」
孤独死のあった家は、清掃だけでも100万円はかかる。解体ともなると、さらに費用がかさむと考えた方がいい。遺体が見つからず、腐敗が進むと、ここまで大ごとになってしまうのだ。
※女性セブン2020年4月23日号