日本は消費税増税で国内の景気が大きく冷え込んだ最悪のタイミングでコロナ・ショックに襲われ、経済活動が凍りついた。
日経平均株価は2万4000円から一時1万6000円台へと3割下がったが、まだ底は見えない。そのうえ東京五輪の延期が決まったことで、五輪需要まで消失してトリプルショックになる。
「いま日本は『令和恐慌』の入り口にさしかかっている」
そう指摘するのは内閣官房参与として安倍首相のブレーンを務めた藤井聡・京都大学大学院教授(社会工学)である。
「消費税増税で昨年10~12月の実質GDPは年率換算7.1%のマイナス。これは国民1人あたり30万円の所得を失う勢いで経済が落ち込んでいることを意味する。
そこにコロナ・ショックがやってきた。外国人観光客が激減してインバウンド需要が消え、観光産業は大打撃。イベント中止と一斉休校で国民は経済活動を自粛し、あらゆる産業に影響が及んでいる。世界経済が冷え込んでいるから輸出産業もこれからさらなる打撃を受ける。倒産や失業がドミノ倒しのように広がっていくでしょう。まさに恐慌突入です」
政府も危機を隠せない。新型コロナ対策担当の西村康稔・経済再生相は日本経済への影響について、「リーマン・ショックかそれ以上かもしれない」と厳しい見方を示した。
2008年9月に発生したリーマン・ショックで日経平均株価が瞬く間に1万円を割ったとき、日本経済に何が起きたか、国民がどれだけ苦しい生活を強いられたかを覚えている人は多いはずだ。
株価暴落をきっかけに円高が進み、自動車を中心に対米輸出は60%減少、不況はあらゆる産業分野に広がって倒産件数は1万5646件(2008年)にのぼった。