世界はどうコロナに対峙しているのか
ここで改めて、各国がたどってきた“コロナ禍への対応”を振り返ってみよう。
“震源地”となった中国では、基本的人権を制限してまで感染を封じ込めるという強権的「集中治療」の結果、収束への道筋が見え始めている。『「新型コロナ恐慌」後の世界』(徳間書店)の著者で作家・経済評論家の渡邉哲也さんが言う。
「国民に権利を与えても体制崩壊を招くだけだと改めて認識した中国は、今後さらに一党独裁主義を強化するでしょう。極論をいえば、毛沢東の時代に戻っていくかもしれない。日本にとってもかつてのような“近くて遠い国”になる可能性があります」
中国と同様に権威主義が目立つロシアは、他国と比べて病床数の少なさなどが指摘されていたが、3月30日、モスクワ近郊に500床規模の病院の建設を進めていることがわかった。また、アメリカに医療機器を提供するなど権威主義を見せつけている。プーチン大統領は、昨年の国際会議で「自由主義は時代遅れだ」と発言している。
いち早くドライブスルー型検査や1世帯に100万ウォン(約9万円)を支給するなどの対策で文在寅大統領が再評価されている韓国は、資本主義国家でありながら、封建的な“監視社会”をつくり上げることで感染を食い止めている。クレジットカードの使用履歴やスマホのGPSの追跡で濃厚接触者をほぼ100%特定できるシステムを構築した。国内の監視カメラの数は800万台にも上り、国民のプライバシーを犠牲にすることで命を守っている形になる。
対する欧米諸国は、トランプ氏のほか、イギリスのボリス・ジョンソン首相など、リーダーの強い呼びかけで、第2次世界大戦さながらの“国民総動員”での対策を講じているが、現時点で収束には至っていない。
「総合電機メーカーのGE(ゼネラル・エレクトリック)が人工呼吸器をつくり、高級ブランドのヴェルサーチが防護服、ディオールがマスク、シャネルがアルコール消毒液を生産。イギリスでも掃除機のダイソンやロールス・ロイスが人工呼吸器をつくっており、まさに戦時経済です。表向きはウイルスとの闘いですが、彼らの“敵”はほかでもない、中国なのです」(渡邉さん・以下同)