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各国のコロナ対応の違い、強権主義型・緊急事態型・努力要請型…

日本は「個の意識」で今後も感染拡大を食い止められるか(Getty Images)

日本は「個の意識」で今後も感染拡大を食い止められるか(Getty Images)

 その構図は、かつて東西冷戦下でアメリカとソ連が対立したことを想起させる。いずれも社会主義・資本主義のいずれかに偏った対策を取っているなか、篠田さんによれば、世界で最も興味深い対策を取っているのは、ほかでもない日本だという。

「欧米諸国より早く感染拡大が見られたにもかかわらず対応の遅さが目立ち、問題視されていますが、日本は意外にも、アメリカやイタリアなどと比べると、爆発的な拡大は見られない。ギリギリとはいえ、持ちこたえているのです」

 4月8日現在、アメリカの感染者数は約40万人、スペインは約14万人なのに対し、日本国内は約4000人だ。強い言葉や罰則がなくとも、「みなさまにご協力をお願いいたします」という姿勢で、他国にこれほどの差をつけられているのはなぜか。

「中国のような“強権主義”型でも、欧米のような“緊急事態”型でもなく、国民の自発性や個人の意識の高さを信じる、いわば“努力要請”型の対応。これは世界に例のない“日本モデル”です」(篠田さん)

 それを支えるのは、日本国民一人ひとりの危機意識の高さ、真面目さ、民度の高さだ。挨拶でハグやキスや握手をせず、土足で家に上がらず、毎日入浴するのを好む国民性もあるだろう。また、われわれには“コロナ前”から、体調が悪ければ「人様にうつさないように」とマスクをつける習慣がある。

 3月31日、アメリカの国立アレルギー・感染症研究所所長が日本の感染者数・死者数が少ないことなどを受けて「医療現場以外でもマスクをつけた方がいい」と示唆した。意外にも、世界は日本を見直し始めているのだ。頼りないリーダーには辟易するが、真面目な国民を信頼して協力を要請するというやり方は、ひょっとしたら、民主主義国家として最も理想的な方法なのかもしれない。

 渡邉さんは、「サプライチェーンをすべて自国で賄えるほどの労働力と財源をつくることができれば、物価が上昇したとしても、賃金の上昇も充分考えられる」と話す。

 いまの世界は、いうなれば“戦時下”。強いリーダーはもういらない。世界が見直す「個」の力で生き抜くしかないのだ。

※女性セブン2020年4月23日号

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