医療費は公的制度をフル活用して負担を減らしたい。手術などで医療費がかさんだ場合は高額療養費制度だ。同じ月の医療費の自己負担が限度額を超えた場合、加入している健康保険から超過分が払い戻される。自己負担の限度は所得や年齢によって異なり、70歳未満で住民税非課税世帯なら月3万5400円まで。トータルライフサポート代表でファイナンシャルプランナーの熱田宏幸氏が説明する。
「高額療養費はいったん医療費を負担してから払い戻されるまで3か月ほどかかるので、一時的に立て替える必要があります。それも厳しい場合は、事前に加入する健康保険に申請して限度額適用認定証の交付を受けておく。病院で提示すれば、自己負担限度額までの支払いで済みます」
他にも活用したい制度は多い。長期療養を主とする「療養病床」に入院する65歳以上の人は入院時生活療養費が支給されるし、コルセットなど治療用装具の費用の70~80%を療養費で賄える。
年間の医療費が10万円を超えたり、課税所得の5%を上回ったりした場合などには、確定申告で医療費控除を受けられる。
「支払った医療費から、保険会社の給付金などを差し引いた額が控除額になります。がんによる入院・手術で大きな出費があっても、がん保険からの給付などがあると思ったほどの控除額にはならない。ただし、生計を共にする親族と合算したり、通院などに必要な公共交通機関の交通費、医師の指示で行なった鍼灸治療なども含められるので、最大限活用できるように考えることが大切です」(同前)
同一家計内では、最も所得の多い人(所得税額が多い人)がまとめて医療費控除を申告するのが賢い使い方だ。子供と同居したり、子供から仕送りを受けたりして、所得税法上、子供の扶養親族となっている場合は、親の医療費も子供が控除として申告するとよい。