待ち合わせに遅れた時、借りた物を失くした時、約束を忘れた時、仕事でミスをした時──まっとうな感覚の持ち主なら謝るのが当たり前だが、世の中には“絶対に謝らない人”が少なからず存在する。
プライドが許さないのか、恥ずかしいのか、とにかく自己中心的なのか、その理由は本人のみぞ知るところだが、いま一度考えてみて欲しい。謝らないことはそんなに得なのか? 都内に住む会社員のAさん(40代男性)は、とにかくすぐ謝ることで難局を乗り越えてきたという。
元来は気が強く、ペコペコ謝ることなどまったくなかったAさん。そんな彼が変わったきっかけのひとつが、就職2年目の“成功体験”だ。
「当時私は取引先を車で回っていましたが、路駐(路上駐車)も今ほど厳しく取り締まられるものではありませんでした。『ここはダメですよ』って紙を貼られてから、2度めにチェックが来る前に動かせばセーフ、というような感じです。一度、その2度めの見回りに遭遇し、まさに路駐をとられそうという時、完全にテンパってしまった私は、とにかく頭を下げ続けて、どれだけ困るかを切々と訴えました。すると、『まあ、今回はギリギリだったし……』と、見逃してくれたのです」(Aさん。以下同)
謝ることで何とか窮地を脱したAさん。これは自分に非があるものだったが、もうひとつ同時期の“失敗体験”も大きな影響があった。