そんな見方が変わったのは一昨年の秋頃から。自民党議員の事務所でアルバイトをし始めて、安倍総理を身近に見かけるようになったけど、“光の人”はどんどんくすんでいくように見えた。だってこの人、よくキレるんだもん。野党議員に「意味のない質問だな」などと野次ったときも、街頭演説で「こんな人たちに負けるわけにはいかないんですッ」とアンチ勢力に言い返したときも、まあ…キレたんだよね。モリカケ問題で追及された総理が「もし私か妻が国有地の払い下げに関与したというなら、総理も国会議員も辞めますよ」と答弁したときも、キレていた。
モリカケも桜を見る会もテキトーにはぐらかしながら逃げ切りを謀ってきた安倍政権だけど、今度はコロナが相手。ウイルスは権力になびいたり媚びたりしないから、「大火になる前にテキトーに揉み消しといてくれ」という、周囲へのアイコンタクトも効かないし、目先にエサをちらつかせて気を逸らしとけば国民はそのうち騒がなくなるさ、という作戦も通用しない。
ウイルスは人を選ばないから、金持ちだって貧乏人だって、腹黒い役人だって無害な一市民だって、かかる可能性は一律にある。素直に自粛生活を送っている人たちだって、自粛を無視して飛行機に乗って県外に行ってゴルフしたりサウナに入ったり焼き肉食べたりして好き勝手やって迷惑を撒き散らした上にそれを隠そうとしたバカな輩だって、かかる。
そんなコロナが相手なんだから、安倍総理にはどうかキレないでほしい。どのくらいの長期戦になるかわからないけど、落ち着いて実直に対応してほしい。仕事をしたくてもできない人たちや、キャパシティーを超えてヘトヘトになって働きづめを強いられている医療現場のかたがたを実感してほしい。
若者を意識して星野源の動画に参戦したと言うけど、そんなのいらない。1枚260円もするちっぽけな布マスク2枚を466億円もかけて配られたら、国民は逆に「バカにされてるんじゃないか」という感情を抱くことに思い至ってほしい。安倍総理ご自身の発想というよりは、頭の固いお付きの役人の入れ知恵なんだろうけど、そんなのに乗せられない、地に足の着いた策を繰り出してほしい。