収束の兆しが見えない現在の新型コロナウイルスの蔓延では、当初、デマ情報が流れ拡散し、多くの人がその情報を信じるという事態も起きた。いま、SNSやインターネットの普及により、災害時の“不安”は、一瞬で広がっていく。これを「インフォデミック」と呼ぶが、この言葉は「インフォメーション(情報)」と「エピデミック(流行)」を組み合わせた造語で、根拠のない情報が拡散されるという意味だ。
防災アドバイザーの高荷智也さんが語る。
「SNSで、誰でも瞬時に情報を得ることができるのは便利ですが、その半面、不安を増幅させてしまいます。トイレットペーパーが品薄というインフォデミックが流れると、『うちも危ない』と、あっという間に買いだめが拡大する。市場からものが無くなるのは、もはや“現代ならではの二次災害”と考えられます」(高荷さん・以下同)
その状況で“冷静に対処を”と呼びかけても意味がない。
「ものが無くなるということは、地震でたんすが倒れる、停電が起こるなどの災害現象と同じです。これらに備える生活様式に転換することが、21世紀の災害対策には不可欠です」
ある報道(*注)によると、国内の研究機関が10~60代の6000人を対象に「フェイクニュース」を流したところ、50~60代がもっとも信じやすいという調査結果が。さらに、SNSの利用者に比べ、メッセージアプリやメールマガジンをよく利用する人の方が「誤情報を拡散しやすい」傾向が見られた。
【*注/国際大学グローバル・コミュニケーション・センターグループの調査で、NHKのニュースで報道された】
この調査は、「その原因として、この世代は自己判断に自信があるがゆえ、誤情報も信じやすいのでは」という分析で結ばれていた。自分もインフォデミックに加担しているかも……。それを自覚し、自分が信じる情報への「過信」をまずは疑い、さまざまな意見に耳を傾ける姿勢が必要だ。
※女性セブン2020年4月23日号