緊急事態宣言が全国に拡大するなか、地元密着型企業や地方自治体の奮闘が目立ってきた。
福井県は県内の全29万世帯にマスク購入券を配布。生活雑貨販売「フジコンコーポレーション」(本社・鯖江市)などの協力で30万箱を確保し、坂井市に本社を置くドラッグストア「ゲンキー」に券を持参すれば、最大100枚(2箱)が購入できる仕組みを整備した。
福井県創業・経営課の担当者が説明する。
「販売ルートを検討するなかで県内64店舗のゲンキーさんが、『仕入れ価格での販売=利益ゼロ』で快く協力してくれました」
瀬戸内6県で86店舗を構えるスーパーマーケット「ハローズ」(本社・広島県福山市)は、全従業員にコロナ支援金を支給する。本部・経営企画室はこう話す。
「パートやアルバイトを含む8300人に総額4500万円の現金を支給します。生活支援とともに、慰労の意味もある。地域の方々の生活のために事業継続は必須だが、レジ業務などにあたる従業員は当然、不安があるなかでの勤務になる。その労に報いたかった」
経済学者の宮本勝浩・関西大学名誉教授は、こうした地元密着型企業の取り組みが重要だと指摘する。
「トップの鶴の一声で方針が決められたり、郷土愛から利益度外視で地域貢献に取り組めるケースが少なくない。緊急時はそうした企業と行政の連携が不可欠です」
大企業にはできない、地方の底力に喝采を送りたい。