新型コロナウイルスの感染防止対策は、仕事や日常生活の「当たり前」を覆した。多くの人たちが以前の生活に戻りたい、と考える一方で、コロナを機に登場した新しいライフスタイルの中には「コロナ終息後も当たり前になってほしい」というポジティブなものもあるようだ。
30代の男性会社員・Aさんが真っ先に挙げたのは「在宅勤務と時差出勤」だ。Aさんの会社では、以前から在宅ワーク制度があったものの、実際に利用する人はほとんどおらず形骸化していた。それがコロナを機に多くの社員が活用するようになったという。
Aさんは「通勤」「対面」しか選択肢がなかった価値観が壊れたことは大きい、と話す。
「体調が悪いときでも、我慢して満員電車に乗っていたのは何だったのか。大手を振って自宅で働いていい、となったことは革新的ではないでしょうか。私は今、完全な在宅ではなく、時差出勤と並行していますが、それもちょうどいい。コロナ後も柔軟かつ積極的に取り入れてほしいですし、今後は対面とオンラインの使い分けが重要だと感じています。
一方、在宅で仕事をする際のデメリットとして、光熱費や通信費が余計にかかってしまうという問題もあるので、コロナが落ち着いたら、会社から少し遠くても家賃が安い物件に引っ越すことを検討しています」
Aさんは、私生活でも大きな変化が起きた。これまでは周囲の人の誘いを断れず不摂生な生活を続けていたが、人と接触する機会が減ったことで、健康的な生活にシフトしたという。
「人とあまり会わなくなったので、誘惑が少なく、自分のペースで仕事に取り組める。健康生活から2週間くらい経ちましたが、寝起きがよくて体調もかなりいいです。コロナ終息後も続けていけたらいいな、と思っています」(Aさん)