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原油価格がマイナスになった仕組みを解説 今後はどう推移するか

 しかし、実際には、現物ではなく、WTIが世界で最も先物の売買量が多いため、原油価格といえばWTI原油先物価格が原油の代表的な価格と認識されているのです。

マイナス価格はWTI原油先物価格のローカルルールに起因

 さて、WTI原油先物はオクラホマ州クッシングにある貯蔵庫で受け渡しがされると決まっています。他の場所ではできません。したがって、米国クッシングだけの個別理由でWTI原油価格は上下動します。たとえば米国に大型ハリケーンが上陸すると、クッシングの在庫はすぐ底をつきかけます。そうすると供給が減ってしまう懸念から買いが集中し、原油価格のなかでWTIだけが暴騰するということがこれまで何度もありました。

 そして、WTI原油先物は決済をしないと期日にオクラホマ州クッシングで現物の原油を引き取らなければなりません。実際、WTI原油先物は最終取引日が近づくにつれ、数週間後に現物と交換する契約として扱うようになっていきます。

 そうしたなか、今回は過剰供給と新型コロナウイルスの感染拡大による需要急減によって、その貯蔵キャパシティが5月半ばまでに限界に達する可能性が高くなっていました。それを見越して5月物の先物を保有していた投資家は貯蔵できない可能性もある原油を抱えこまないように投げ売りをしたのですが、買い手が現れずに、お金を支払ってでも買い取ってもらうという事態に発展し、マイナス価格がついたというわけです。

 ちなみに、同じWTI原油先物の6月物は同じ4月20日に4.6ドル安(▲18.4%)の20.43ドルで終えています。また、欧州北海沖のブレント原油もこの日2.51ドル安の25.57ドルで引けており、決して現物の原油価格や世界中の先物価格がマイナスになったわけでありません。

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