一方、この原油価格が異常に低い状態が続いている状況は、今後、米シェールオイル企業や石油企業、商社などに大きなダメージを与えるといった波乱要因につながる可能性があります。信用力の低い米国企業向けの貸出債権を束ねた金融商品『ローン担保証券(CLO)』が拡大していますが、その大きな部分はシェール関連企業が占めているといわれています。
そうなると、この先、米シェール企業の破綻が相次げば株価急落に見舞われるなど金融市場が動揺するかもしれません。ただし、新型コロナウイルスへの景気対策として、米FRB(連邦準備制度理事会)がCLOも含む低格付け債の購入を表明したこともあって、現時点ではそれらの金融商品がクラッシュして金融危機に陥る可能性は低いと見ています。ましてFRBのみならず、世界の主要国が大規模な金融緩和や財政政策を打ち出して経済の下支えをしようとしているので、新型コロナウイルスの感染拡大が収束して落ち着きを取り戻せば、株価も上昇していく可能性があると思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しなどを紹介するメルマガ「日本株通信」も展開中。