「全国規模のチェーン店はすぐに休業していたんですが、都内に数店舗を構えるローカル店や非チェーン店などは、感染防止策を強化しつつ、営業を続けるケースも珍しくなかったと思います。
たとえば、世田谷区内のA店は、パチンコ・スロット合わせて200台弱を設置する中規模店舗。4月に入ってからも営業時間は通常通りだったんですが、1台置きに電源を切っていました。仮に全台埋まっても客と客の間が1台空くので、ソーシャルディスタンスを保てるという主張だったのでしょう。そのほかにも、無料で手袋を配布するなど、最大限の配慮をしたうえで、なんとか営業を継続させたいという思いのようでした。また、4月1日から禁煙化されたということもあって、店舗内のタバコ臭さはほぼ皆無。非喫煙者にとっては快適な状況だったと思います」
このA店は、普段は必ずしも繁盛している店舗ではないという。
「近所にある大手チェーン店のほうが客付きが良くて、A店はいつもガラガラだったんです。でも、休業している大手チェーンの方から流れてきたのか、A店は通常よりも客付きが良かったように見えました。
ただ、だからといって出玉が良かったかというと、まったくもってそんなことはない。この店は普段からそんなに出玉でサービスするタイプではなく、緊急事態宣言後も“通常通り”の回収モード。客にとっては、“パチンコやパチスロが打てる”ということ以外にメリットはなかったと思います。ちなみに客層は若い人もいれば、高齢者もいて、それもまた“通常通り”でした」
結局、A店は都遊協が最後通告を出した翌日の4月25日から休業に入った。
別の店はどうか。同じく緊急事態宣言後も営業を続けていた世田谷区内のB店について、藤井氏はこう話す。
「B店もまた、パチンコ・スロット合わせて200台程度を設置している中規模店舗です。4月に入ってからは、店外のネオンなどは消灯しており、遠くから見ると営業していないかのような雰囲気。でも、中を覗くとしっかり営業をしている、という感じでした」