支払いの猶予だけでなく、まとまったお金を保険会社から借りることもできる。
「貯蓄型の終身保険、養老保険などの解約返戻金を『契約者貸付』という制度で前借りできます。貸付限度額は解約返戻金の5~9割ほどです。保険の契約期間までに完済すればよく、審査や保証人も不要で、信用情報にも残らないので他のローンの借り入れに影響を与えない」(風呂内氏)
注目したいのは平時であれば貸付金利は2~8%のところ、新型コロナ特例で一定期間、金利をゼロにしている会社が多いことだ。かんぽ生命やこくみん共済、JA共済などは3月から最長1年間。日本生命や第一生命など民間保険会社は9月30日が期限である。
「契約者貸付の多くは複利制が取られていて、返せなかった利子が次期の元本に編入され、借入額が膨らんでしまいます。今回の特例は期間内に返済できれば金利がかからないため、収入減で生活に困っている場合は選択肢として検討するべきでしょう。都市部では一律10万円の特別定額給付金や持続化給付金などの支給が遅れているので、それまでのつなぎ資金とし、支給されたら一括で返済するのが賢い使い方です」(同前)
これらの制度を利用していても、入院や手術などをした場合は保険金や給付金の支払い対象となる。
※週刊ポスト2020年5月22・29日号