上氏が一例として挙げたのは、生活習慣病のケースだ。
高血圧や糖尿病、胃潰瘍などの生活習慣病には、基本診療料に加えて患者の生活指導に対する報酬の「特定疾患療養管理料」(診療所で2250円。3割負担で680円)を上乗せできる。この特定疾患療養管理料は1か月に2回まで算定できるのだ。月1回か月2回かで、医療費に大きな差が開く。
「開業医には、高血圧の患者を2週間に一度、通院させることが多くみられるが、症状の安定した患者は月に1度の診療でも多いくらい。本当は1度に3か月分の薬を出して、症状に変化があったときにだけ通院してもらう形で十分だと考えられます」(前出・上氏)
さらに、生活習慣病を抱える人は、診療明細書に「生活習慣病指導管理料」の記載があるかどうかを確認したいと、上氏は指摘する。
生活習慣病指導管理料は、200床以上の病院で認められる報酬で、検査・投薬・注射の費用があらかじめ含まれる。その分、1万1000円以上(高血圧の場合。3割負担で3300円)と特定疾患療養管理料よりもはるかに高額だ。
「患者によっては注射などが不要なのに、生活習慣病指導管理料を取られている人もいます。そういう場合は、特定疾患療養管理料への変更を相談してみるといいでしょう」(前出・上氏)
3割負担の場合、この変更だけで毎回の支払いから3000円近くを抑えられる。
※週刊ポスト2020年5月22・29日号