仕入れ先が変更されても消費者がそれを把握することができなければ、過去に判明しているリスクのある食材が使用されるかもしれないと、中村さんが語る。その一例がえびだ。
「2010年にベトナム産の冷凍養殖えびからトリフルラリンが検出されたことがあります。トリフルラリンは、藻の除去に使用される除草剤で、食品衛生法によって設けられている基準値を超えていた。この基準値についても、2013年に厚生労働省が緩和してしまっています。つまり、除草剤が残留したえびを口にするリスクがある。ベトナム産のえびは国内市場に多く出回っていますが、私は避けています。けれど、今回の通知によって、そのような選択ができなくなるということなんです」(前出・中村幹雄さん)
また、公益財団法人「食の安全・安心財団」の常務理事・事務局長を務める中村啓一さんは、「過去に産地偽装として社会問題にもなった多くが『中国産隠し』でした」と明かす。
「輸入品、特に中国産の食品に対してよいイメージを持っていない消費者が多いことから、意図的に産地を隠ぺいする業者が出てくる心配もある。たとえば、製品計画では『原材料:うなぎ(国産)』としておきながら中国産を使用し、ホームページには『原材料は場合によって産地が変わります』と表記する可能性などが考えられます」
バター、ソーセージ、ハムなどにも…
産地だけでなく、原材料の変更も起こりうる。3月に、山崎製パンの「バター香るもっちりとした食パン」が、原材料にバターを使用していなかったにもかかわらず原材料欄に表示しており、消費者庁から表示是正などの指示を受けた一件を覚えているだろうか。同様のトラブルが、今後増えるかもしれないという。