安くて満足の外食チェーン。「こんなに安くてどうやって儲けを出しているのだろう?」と疑問に思う人もいるかもしれない。いくら安価なメニューでも必ず店側の“儲けのカラクリ”は存在する。
例えば、焼肉チェーンと高級焼肉店の大きな違いは牛の種類。「ブランド和牛が中心の高級店に対し、チェーンは輸入牛をメインに提供している。ブランド和牛のA5ロースは100グラム1000円が仕入れ相場だが、輸入牛は180円。1人前500円台で提供しても十分に利益が出る」(流通関係者)
「とりあえず」と頼むことが多い牛タン塩は、輸入肉で1キログラム2000~3000円が仕入れ値。1人前(80~100グラム)の原価はおよそ200~300円だ。定番メニューのカルビ、ロース、ハラミのほうが安く仕入れられる。1人前あたりの原価は200円以下だ。
肉よりもはるかに利益率が高いのがサイドメニュー。キムチの仕入れ値は1キログラム約500円。1人前(約100グラム)の原価は約50円となる。サンチュは1枚あたり約10円。
大手チェーンでは90分3000円前後の食べ放題コースもあるが、「若い男性でも500~600グラムが限界で、原価で1000円程度」(焼肉店オーナー)だという。よほどの大食漢でない限り、お店側を“原価割れ”に追い込むことはできない設定だ。
大手牛丼チェーンは提供価格に差があるが、「これは使う牛のショートプレート(脂身の多いバラ肉)の品質の違いによるもの」(輸入業者)だとみられている。
1杯400円足らずの牛丼は、米国産のショートプレートを使用。1杯あたりのコストは肉(約150円)、玉ねぎ(約10円)、タレ(約30円)、ご飯(約50円)で約240円。薄利多売が前提となる商品だ。
客単価を上げるため、鰻丼など高額商品が登場したが、「近年は中国産うなぎも高騰。鰻丼1杯の原価は500円以上で利幅は薄くなった」(牛丼店店長)という。ドリンクバーのような専用機械がある味噌汁は1杯10円以下と低コスト。