「近年、トランス脂肪酸を避けるためにマーガリンよりもバターが好まれる傾向にあり、バターをお菓子やパンに使用するケースが増えました。ですが、バターは国内でも流通量が少ないうえ、自粛生活によって家庭での消費量が激増しています。それを理由に、バターをマーガリンやさらに安価な植物油に置き換えてしまう業者が現れるかもしれません」(消費者問題研究所代表の垣田達哉さん)
さらに、垣田さんはソーセージやハムなどの加工肉についても警鐘を鳴らす。
「食品表示は、原材料の重量の順番で表記するよう法律で決まっています。ハムなどの加工食品の場合は、豚肉、ラード、植物性たんぱく質といった具合ですね。しかし、この順番も変更しなくてもよく、実際には安価な植物性たんぱく質の量がラードより増えていたという事態が起こる可能性がある。メーカーはそのぶん安く作れるので収益が増えますが、消費者は気がつかないうちに低品質な食品を掴まされることになってしまうかもしれないのです」
では、実態と大きくかけはなれている表示を監視し、取り締まることはできるのか。
「食品メーカーから役所への連絡義務もないので、消費者が味の違いに気づいて通報をしないと難しい。性善説に立ちすぎた、あまりにも拙速な通知といえるでしょう」(前出・中村幹雄さん)
※女性セブン2020年5月21・28日号