食料の流通に関しては、消費者庁も危機意識を抱いているようだ。
「各メーカーさんからも『流通が止まるのでは』という危機感を持った声が聞こえてきています。先月、WTO(世界貿易機関)やWHO(世界保健機関)が食料供給を維持することを掲げましたが、裏を返せば、それだけ危機意識があるということ。インドは約2か月間も全面閉鎖しており、中国も2月には外出禁止措置で物流が止まり、供給が滞る事態が起きています。いつ外国産品の原材料の供給がストップしてもおかしくないと考えています」(消費者庁の担当者)
また、農水省の担当者は、しょうゆやみその原料になる脱脂大豆の供給への不安を口にした。
「大豆のおもな輸入先はアメリカや中国ですが、脱脂大豆はインドから材料を輸入しているそうで、業界団体から今後の見通しが不安だと聞いています。6月中には在庫が尽きるという相談も受けています」
輸出規制を行っていない国であっても、突然、事態が急転する恐れもある。
「たとえば、アメリカの豚肉加工大手企業の工場で、従業員700人以上が新型コロナに感染し、工場が無期限閉鎖に追い込まれています。このような事態が続けば、輸出をストップする可能性もあるのです」(消費者問題研究所代表の垣田達哉さん)
野菜にも大きな影響が表れている。日本は、生鮮野菜のうち玉ねぎやにんじん、ねぎなどの輸入の8割以上を中国に頼っている。その中国では、新型コロナの影響によって労働力を確保できず、野菜を収穫できない状況だ。野菜を梱包する段ボールやビニール工場などの稼働の遅れも大きな影響を及ぼしている。