Aさんは、リモートワークが万能ではないと知りつつも、「仕事のムダがあぶり出された」と考えている。これまでビジネスの世界では、「慣例」やら「定例会議」といった形で、本当に必要だったかどうか分からないものに、多くの時間を費やしてきたのではないだろうか。
「私自身、取材や打ち合わせに行くことについては、『ちゃんとフェイス・トゥ・フェイスがいいよね』と思っていたのですが、取材に行けなくなっても、収入はほとんど変わっていません。つまり、最初からリモートワークでもなんとかなったのです。
もちろん、現場に出なければ仕事にならない人も多いでしょうが、リモートでなんとかなる人は今後無理して満員電車に乗って出社しなくてもいいのでは? 私自身もこれからは朝早い時間の会議は『リモートにしませんか?』と提案するつもりです」
コロナ禍により「エッセンシャル・ワーカー」という言葉が登場した。これは医療従事者を筆頭に、本当に社会にとって欠かせない仕事をする人々を指す言葉だが、それ以外の人にとっては、これまでの仕事のやり方が本当に効率的なものなのかを見直す機会にもなっているのではないか。
Aさんは「私は今の仕事スタイルがあまりに快適なので、たとえコロナが収束した後でも、打ち合わせに参加するためにわざわざ交通費を使って外に出たくありません。別に電話でもZoomでもいいじゃないですか。なんで『フェイス・トゥ・フェイス』をまだ重視するんですか?」と憤っている。はたしてコロナ収束後の働き方はどうなるのか──。