このように、「新型コロナの影響」といっても、同じビジネスのなかで“プラス”と“マイナス”が入り交じり、「収支決算」が見えにくいケースは少なくない。
そのひとつが酒類メーカーだろう。オンラインでの“宅飲み”の需要が急増した一方で、東京では居酒屋などでの酒類の提供が午後7時までと要請されたことで“店飲み”は激減した。どちらの影響が大きかったのか。
「ビールは売り上げの約半分を占めていた業務用需要激減の影響のほうが大きく、3月は大手4社で前年同月比27%減、4月は52%減。巣籠もり消費の拡大で発泡酒はプラス1%、新ジャンルはプラス7%(ともに4月)と伸びたものの、ビール類合計では3月が13%減。4月はさらに悪化して21%減でした」(経済ジャーナリストの永井隆氏)
業務用と家庭用の“2本柱”からなるビール業界だが、前者の落ち込みを後者の伸びでカバーしきれなかったことが見えてくる。
※週刊ポスト2020年6月5日号