入院費用を少しでも抑えるためには、医療費が取り戻せる制度の活用が必須である。民間の医療保険に入らなくても公的な制度でほとんどをカバーできる(別掲表参照)。
「サラリーマンなら、病気やケガで収入がなくなったときに休職中の収入補償をしてくれる傷病手当金があります。金額は1日あたり日給の3分の2程度。しかし、それほど長期でなければ有給休暇で済むケースがほとんど。利用するなら、高額療養費制度と医療費控除でしょう」(ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏)
高額療養費制度を使うと、平均的な収入であれば1か月に約9万円を超えた部分が払い戻される。しかし、注意が必要だとファイナンシャルプランナーの小谷晴美氏が言う。
「高額療養費は月ごとに自己負担額の上限が設定されるので、入院が長引くようなら“月またぎ”に注意しましょう。また、同じ健康保険に加入していれば世帯で合算できるので、1人で限度額に達さない場合も、家族で合算すればお金が戻ってくることがあります」
さらに小谷氏は、保険適用外の全額自費の診療についても医療費控除で所得控除の対象になるケースがあると指摘する。
「例えば1泊2日で入院して人間ドックを受けるのは全額自己負担ですが、その結果病気が見つかり治療をした場合は医療費控除の対象となります。また、高額療養費の対象にならない、保険適用外の自由診療や差額ベッド代などの全額自己負担分も控除の対象とできる場合があります。ポイントは『治療目的かどうか』です」