同じ病気で入院しても、病院により入院日数や入院費用が変わるものだ。はたしてどれだけ変わるのか。『医療費のしくみ』(日本実業出版社)の著書がある、高崎健康福祉大学准教授・木村憲洋氏が解説する。
「入院費は大きく分けて1日ごとにかかる『入院基本料』、検査や手術といった治療が積み重なっていく“出来高部分”の『特掲診療料』からなります。入院基本料は病院の規模や種類、病床の目的ごとに細分化され、加算される項目も多数あります」
では、どうすれば費用を抑えられるのか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は、こう説明する。
「必要な医療をきちんと受けるのが大前提ですが、基本的には医師らと相談しながら“なるべく早く退院する方法を探る”ことに尽きます」
入院はホテルの宿泊と違い、1泊2日なら2日分の入院費がかかる。例えば一般病棟では1日あたり最低でも9880円(自己負担3割なら2960円)~2万1000円(同6300円)かかり、入院が長引くほど費用がかさんでいく。
1日あたりの入院費用の多寡は、“1人の看護師が何人の患者を看ているか”でも大きく変わる。レディースクリニック市ケ尾の高橋誠治院長が解説する。
「一般病棟では、『患者7人に対して1人の看護師』よりも手厚い配置にしていると、もっとも入院費が高くなります。看護師の数の違いで、1日あたり最大数千円、10日であれば数万円の差が生じます」
「患者7人に看護師1人」と「同10人に1人」では、30日間の入院で約8万円(自己負担3割で2万4000円)の差がつく(別掲図参照)。