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収入激減で親に助けを… 行き場を失った貧困芸人たちの悲哀

 6月になってごくわずかであるがライブが開催され始めている。しかし、その場合もソーシャルディスタンスを守るために様々な措置がとられている。例えば200人のキャパの会場で20席しか作らず、開演中もずっとドアは開けっぱなしにして換気を十分にし、舞台と客席の間には飛沫感染防止のため透明のビニールシートをかける、などだ。

 芸歴15年目のものまね芸人Bさん(30代男性)が語る。

「僕の活動の拠点はショーパブと営業などのイベントだったのですが、3月終わり頃から全部キャンセルになってしまい、収入は20分の1くらいに激減です。5月はラジオとテレビで1本ずつ仕事があったのですが、どちらもリモート出演でした。もちろん仕事があるだけでもありがたいのですが、やっぱり生の人と触れ合いながらの方が楽しいですしやりがいもありますね」

 現在の仕事が減っていることだけでなく、これから先の仕事の見通しも暗いという。

「最近は、芸人仲間とZoom飲みをよくやっているのですが、そこで出た話題は、『今年の学園祭は期待しない方がいいね』というものでした。毎年10月、11月の学園祭シーズンは芸人にとって稼ぎ時なので、これはかなり痛いです」(Bさん)

 芸人は学園祭だけでなく、年末年始には企業の忘年会や新年会にも呼ばれることがあり、それも貴重な収入源となっている。しかし、コロナの影響で業績が悪化している企業も多く、「たとえその時期にコロナが落ち着いていたとしても、今年は期待できないでしょうね」(Bさん)とため息を漏らす。

 こうした状況下で、解散するコンビも出始めている。元々、解散を考え始めていた時にコロナ禍で仕事がまったくなくなり、そのまま解散を決意するというパターンが今のところ多いようだ。活躍の場を失った芸人たちの苦境は、まだ終わらない。

●矢口渡(芸人ライター)

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