京東集団の流通総額はセール期間中、前年同月比33.6%増
商品の魅力をわかり易く知ってもらうために、各社はサイト上での販売だけでなく、オンラインによる実況販売を強化している。例えば、京東集団を例に挙げれば、家電スーパー体験店を紹介したり、北京ダック専門店である全聚徳では有名コックが北京ダックを調理するところを紹介したりするなど、ショッピングを充実させるための工夫をしている。
メディアでは、テンセント映像、愛奇芸といったビデオストリーミングサービスや、ショートビデオのプラットフォームであるTikTok、中国版インスタグラムであるショート動画も投稿できる快手などと提携し、彼らのサービスを利用し、販売促進に役立てている。
映像面では、著名芸能人を多数出演させたテレビの特別番組を夜のゴールデンタイムに仕掛けるなど、各社が思い切った広告宣伝活動を展開している。例えば、天猫は、江蘇衛星テレビで6月16日、“超級晩”と冠した番組を放送、ピン多多は湖南衛星テレビで17日に“超ピン夜”、蘇寧は東方衛星テレビで“超級秀”と冠した番組を放送した。
いずれも数時間にわたる長い番組であるが、中国ではインターネットテレビの普及率が高く、見逃したとしてもいつでも好きな時に無料で見ることができ、どの地域の放送も同じように視聴することができる。その上、有名な歌手、俳優が出演することで注目度がアップし、放送中に実施される値引きの効果や、現在の販売状況をリアルタイム表示して消費意欲をあおる手法などもあって、非常に大きな販売促進効果が出ている。
今年の販売成績だが、京東集団では6月1日から18日までのセール期間、前年同期比33.6%増となる2692億元(4兆380億円)の流通総額があった。規模の大きな天猫では同じ時期に6982億元(10兆4730億円、ただし、伸び率は不明)の流通総額があった。
海外の報道では、「行き過ぎたセールは需要の先食いとなる」、「過度に信用供与した上での分割払いは大量の不良債権発生に繋がる」など、過当競争による消耗戦に過ぎないといった否定的な意見もみられる。しかし、競争の中から生まれる技術進歩の効果は大きい。