中国は、新型コロナウイルス対策として、金融緩和政策を行い、零細中小企業に新規の融資枠を与えたり、返済猶予をしたりするなど、金融市場の安定、雇用の確保に注力している。しかし、日本のように消費者や業者に対して広く補助金を支給するといった形での対策は打ち出していない。
だからこそ、EC業者は熾烈な生き残り競争を仕掛け、消費者は少しでも割安な商品を買おうとする。そうした自由競争の中から、正確で安全な決済システムの確立、流通の効率化、低コスト化、ビジネスモデルの進化などが起こり、ICT(情報通信技術)の進化を誘発し、相乗効果が生まれる。中国経済の強さは供給サイドの激しい自由競争の中にありそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。