初めての宿や飲食店に足を運ぶ際、ネットの「口コミ情報」を参考にする人は多いはず。評判の良い店、悪い店──種々雑多な書き込みはどこまで信用できるのか。“最低評価の店”に現地取材を敢行した。
世はまさに口コミ全盛時代。誰もがスマホ一つで情報発信できるネット空間には、消費者の“本音”が溢れている。高評価の店やホテルには称賛の声が集まる一方、「最低評価」が下された施設も存在する。その理由はなぜか。そもそも口コミサイトはどこまで信用できるのか。現地を訪れ、確かめることにした。
今回は世界最大級の口コミサイト「トリップアドバイザー」で複数の口コミがあり、5段階で「星1つ」と認定されたもの(情報は6月21日時点)を取材対象とした。同サイトは批判的な口コミへの規制が比較的緩く、“忌憚のない意見”を検証するのに適していると考えられるためだ。
最初に向かったのは、広島県呉市の「第1パークホテル」。呉駅から徒歩15分ほどのこぢんまりしたビジネスホテルだが、口コミは酷評の嵐だ。
〈二度と利用しません! どちらが客なんだかわからない対応をされます〉
〈フロントに入ったとたん獣臭。部屋に入ると冷蔵庫なし、ウォシュレットなし〉
電話予約を受けた女性スタッフの対応は思いのほか丁寧だが、いきなり不安にさせる一言が……。
「ボイラー工事中なので、お湯が出ません。近くの銭湯を使ってもらえますか。そのぶん、500円値引きします」
東京から片道6時間ほどかけ、ホテルに到着。エレベーターに乗ると、確かに動物臭があり、それを打ち消す芳香剤の残臭がほのかに漂う。宿のホームページにあるように、ペットの犬を2匹飼っているからだろうか。