フロントで女性スタッフから確認されたのは、タバコを一切吸わないかどうか。“非喫煙者専用ホテル”を謳っており、スモーカーは宿泊不可なのだ。また「深夜1時の門限を過ぎると、翌朝7時まで入館できない」とも説明された。“まるで修学旅行”というネットの声は、このことを指しているのだろう。だが、口調は穏やかで、高圧的とは感じない。
室内はごく一般的なビジネスホテルで、〈寝具は毛布一枚だけ〉〈石鹸はいつのものかわからず変色〉といった声は事実と確認できなかった。ただ、冷蔵庫や温水洗浄便座、カミソリなどがないのは口コミ通り。飲みかけの牛乳をフロントに預けようとしたら、氷の入ったクーラーボックスが部屋に届けられた。対応は決して悪くないが、独特なホテルではある。
翌朝のチェックアウト時、ホテル代表の清重貞光氏(70)に取材と明かして話を聞いた。
「うちはタバコや門限などのルールがきっちりしているので、悪い口コミを書くのはルールを守らなかった人たちでしょうね。悪質な場合、『あなたは客ではないので、もう一生涯来ないでください』とハッキリ伝えているから、恨みを買ったのかもしれません」
冷蔵庫やカミソリを置かない理由は?
「信じられないでしょうが、冷蔵庫に汚物を入れる人もいるので不衛生なんですよ。カミソリは刃物で危険ですし、カミソリ負けして『おい、ケガしたぞ!』と因縁を付けられる恐れもあるので」
客としては不便な面もあるが、安心・安全のためだと清重氏は強調する。
「清潔で静かでよく眠れたというリピーターさんは多い。そういう人はネットではなく、置き手紙を残してくれます」
最低評価を受けたことについては、
「匿名で好き勝手書いているネットの口コミに反論する気はありません。面白がってヒートアップするだけでしょうから」
清重氏の熱弁は3時間に及んだ。個人経営で、お互いに顔が見える安心感があるのは事実。実に個性的な宿だった。