西日本のビジネスホテルYの口コミも辛辣だ。
エアコンの風が酷く臭うことから、「最低」と評されたり、トイレのゴミ入れが清掃されていないことを指摘するものも。
新幹線の止まる駅から地下鉄と徒歩で20分程度と立地は悪くない。だが、建物は古びていて殺風景。雑然としたフロントは無人状態だったが、大声で呼びかけると80歳ぐらいの女将が現われた。宿代6800円を先払いするために1万円札を出すと、しわがれ声で、
「すまんねえ、今おつりがないんだわ。コロナで休業してたから、用意できてなかったんよ」
近くのコンビニでお金を崩し、なんとかチェックイン。床のきしみなどから老朽化は隠せないが、口コミにあるようなカビ臭さや清掃の不手際は感じない。テーブルにはグラスの輪染みがうっすら残っていたが、まぁ筆者としては許容範囲。口コミ評価が低いことについて、女将はこう言う。
「ネットで悪く言われているなんて全然知りませんでした。私一人でやっているから、色々と限界はあるかもしれない。そのぶん値段を抑えているので、寝るだけでいいという人に来てほしい」
コロナの影響でホテル需要が落ち込むなか、6800円という料金設定でどこまでやっていけるか、少々心配になった。
一部のクレームである場合も、あたかも利用者の総意のように見えてしまうことがあるのが、口コミサイトの怖いところ。個性の強い店や個人経営の店ほど、賛否両論の極端な口コミが集まりやすい傾向があるようだ。
●西谷格と本誌取材班
※週刊ポスト2020年7月10・17日号