高齢者が病気になった際、住み慣れた自宅で受ける「在宅医療」が注目されているが、入院・通院と在宅でかかるお金はどれだけ違うのか。腎臓疾患で腎機能が低下し、人工透析を1か月受けるケースで試算してみた。
全国腎臓病協議会によれば、2週間の入院と週3回の通院治療(2週間)で、入院治療費約20万円と通院治療費約18万円がかかり、1か月の費用は約38万円(3割負担で約11万4000円)となる。
対して在宅医療は、訪問診療費約6万円と人工透析費約18万円が必要で、合計約24万円(同約7万2000円)となる(別掲図参照)。
治療費だけを見ると4万円ほどの差がつくが、実際には医療保険の「長期高額疾病」が適用されるので、手続きをすることにより、支払いの上限は月1万円になる。
ただし在宅の人工透析は、機材を導入するための自宅の改修費や月々の利用費が積み上がるので注意が必要だ。
一般社団法人日本在宅血液透析学会によれば、人工透析機器には専用電源や排水設備などが必要で、自宅の状況にもよるが、初期設備費用で5万~15万円ほどかかる。また月々の電気代や水道代が1万~1万5000円ほど増える。
「一方の入院は治療費に加えて、食費や差額ベッド代がかかります。コスト面を考えた場合、入院か在宅のどちらが得になるかはケース・バイ・ケースです」(ゆみのハートクリニックの田中宏和院長)