「LINEのメッセージ内容は友達みたいな感じですよ」
“おはよう”から“おやすみ”まで、何気ない会話で盛り上がっていたそうだ。お互い、4月から5月にかけての緊急事態宣言中は時間を持て余していたこともあり、LINEでのやり取りは頻繁だった。
「緊急事態宣言が解除されたらランチへ行こうって話していました」
ランチ代5000円の請求…
6月某日、咲さんとA氏は都内のオシャレなレストランで再会した。その日は、既婚者合コンの時よりも気合いを入れた女性らしい装いで向かったという。もちろん、この出費も夫の稼ぎからだ。
「彼は“かわいいね”って言ってくれました。こんな気持ち、すごく久しぶりです」
咲さんは嬉しかった。夢のような時間だったと語る。ランチタイムが終わり、A氏から「もう少し一緒にいたい」と誘われたが、しかし、咲さんは丁寧に断った。
「夫との生活は平凡でつまらないですが、嫌いなわけではありませんので……」
その誘いを断ったことが原因なのか、A氏は咲さんにランチ代5000円を請求してきたという。
「ご馳走してもらえるものかと思っていました。痛い出費でしたね」
その後、今まで頻繁だったA氏とのLINEのやり取りも無くなり、現在はメッセージを送っても「既読」すらつかなくなった。
「一度食事をしただけなのに、日が経つにつれて夫への罪悪感が出てきました」
既婚者合コンに参加したこと、A氏と会ったこと、そこで夫から渡されていた生活費を充ててしまったことに対して、「いけないことをしてしまったかもしれない」と思い始めたというのだ。
「目を合わせたら、私が隠していることが見透かされそうで……」
A氏とのデート後、数日はまともに夫の顔を見ることができなかったそうだ。特に怖かったのは、A氏とのデートのために購入した洋服を褒められた時。「いいね、似合ってるよ」──夫のこの言葉を、咲さんは素直に喜べなかった。