時代や景気の移り変わりとともに、企業を取り巻く環境は絶えず変化する。30年以上にわたり、さまざまな企業を取材し続けてきた経済ジャーナリストの和島英樹さんが、今注目の企業・業界の動向を分かりやすく解説する。今回は、コロナ禍でも好調なホームセンター業界の動向について。
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新型コロナウイルスによる影響で多くの企業が業績不振に喘ぐ中、不景気を吹き飛ばす盛り上がりを見せているのがホームセンター業界だ。外出自粛による「巣ごもり需要」を追い風に大躍進を遂げている。
特に絶好調なのが、ホームセンター業界首位のDCMホールディングス。北海道を地盤とした「DCMホーマック」や中部の「DCMカーマ」、四国の「DCMダイキ」など、全国規模でホームセンターを展開する同社は、このコロナ禍でも3~5月の売上高は前年同月比9%増の約1258億円、営業利益は同70%増の約116億円となった。
DCMホールディングスのグループで、関東地方を中心に展開する「ケーヨー」も、第1四半期の営業利益は約25億円と、2021年通期計画の17億円を既に達成。主に大阪を地盤とするコーナン商事も4期連続で過去最高益を更新する見通しだ。
好調の背景にあるのは、外出自粛や在宅勤務で生活スタイルが変化し、家庭内需要が増加したこと。具体的には、園芸用品や屋外資材、用土の売り上げが好調で、オリジナルの「DCMブランド」商品でも、人工芝を始めホースリールや除草剤が好調だった。不要不急の外出が禁止されるなか、自宅で出来るストレス解消法としてガーデニングを選ぶ人が急増したようだ。
また、家の中の簡単な傷などを直すための塗料・補修用品や、政府がコロナ対策で換気を推奨していることもあり、網戸用品のニーズも高かった。持て余した時間を家の修理やDIYに充てる人が増えたためだろう。意外なところでは、運動不足予防のための室内用のスポーツ・トレーニング用品や、コロナ禍を機にペットを飼う家庭が増えたことで、ケージや餌、ペットシーツなどの販売も伸びた。