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中国の航空会社、「年内乗り放題5万円」チケット発売の狙い

東方航空をはじめ各社が乗り放題チケットを発売(Getty Images)

 世界各国が新型コロナウイルスの感染抑制と経済活動の両天秤で、揺れ動いている。緊急事態宣言が解除された後の日本では、東京の新規感染者数が連日100人を超えている。アメリカでも感染者の増加が止まらず、カリフォルニア州では1日、大半の地区でレストランの店内飲食を禁止し、バーやパブなどの営業停止を命じ、制限措置の再導入を決めている。

 どの国も、経済を優先させるべきか、感染防止を優先させるべきかで難しい判断を迫られている。

 中国では、6月、北京での新規感染者の発生で、移動制限がかかったが、7月4日の市政府の発表によれば、6日連続で新規感染者数が一桁台になっていると発表しており、現在ではほとんどの地区で移動制限は解除されたようだ。

 中国経済は、6月30日に発表された官製・製造業PMIが市場予想を大きく上回る50.9ポイントとなるなど、順調に回復しているように見える。とはいえ、一部の業界では存続の危機にあって、生き残りに向けて必死の経営努力が続けられている。

 感染抑制のために最も重視されるのが、人の移動を制限する措置である。交通関連、中でも航空会社はその影響を強く受ける産業であり、競争が激しい上に、典型的な設備産業であり、売上の変化に対する利益の変化割合が大きい。感染拡大の影響を受け、経営危機が深刻化している。世界全体をみれば、豪ヴァージン・オーストラリア航空やタイ国際航空が経営破綻しており、ドイツ・ルフトハンザ航空は政府支援を得て、ようやく経営破綻を免れたといった状況である。

 中国の航空産業は国際航空、東方航空、南方航空といった3大国有集団を中心に系列化が進んでおり、国家の支援の厚い産業である。しかし、経営が厳しいことには変わりなく、売上の減少は顕著だ。合理化にも限界がある。こうした状況で東方航空は、顧客獲得を目指し、強烈な値引きを始めた。

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