高額介護サービス費は、例えば65歳以上で課税所得が145万円以上の人は、月額4万4400円以上かかった分の介護費用が戻る。高額介護合算療養費は、さらにそれ以上かかった分を年間で算定することになる。
高額介護合算療養費の自己負担限度額は、年収や年齢で異なる。例えば、年収約370万~770万円の世帯だと、自己負担の上限は67万円(別掲表B参照)。
また、費用の合算にもルールがある。社会保険労務士の北村庄吾氏が解説する。
「高額介護合算療養費は、医療保険もしくは介護保険のどちらかの自己負担額がゼロの人は利用できません。つまり“医療費だけで年間67万円の負担を超えた”というケースでは使えない(年収約370万~770万円のケース)。
また自己負担限度額を超えた額が500円未満の場合もNG。さらに70歳未満の医療保険の自己負担額が2万1000円以下の場合、介護費との合算が認められません」
世帯内で合算するには、同じ健康保険に加入している必要がある。
「例えば77歳の夫が後期高齢者医療制度に加入し、70歳の妻が国保に加入している夫婦は、同じ世帯でも合算できません」(前出・黒田氏)
後期高齢者医療制度に加入する「75歳」を超えている家族がいるかどうかが、世帯合算の可否を占うポイントのひとつになりそうだ。前出・北村氏は「意外と該当する人は多いはず」と言う。
「一般的な年収の人で、高額療養費制度などを利用した上で“年間67万円以上”と言うと難しそうですが、医療費と介護費を合わせて月に6万円程度の支払いですから、十分にあり得ます。制度を知っていることがまずは重要でしょう」