それに対し、美奈子さんが値段の問題ではなく、衛生面の観点からエコバッグを持っていないのだと答えたら、さらに、「じゃあ明日、イイもの持ってきてあげるよ」と言われたのだという。
そして翌日、噂の“イイもの”が美奈子さんの元に届けられた。それは、持ち帰り専用のスーパーのカゴと、ティーン向け雑誌の付録と思われるエコバッグだった。
たしかに、スーパーのカゴならプラスティック製なので衛生的に保つことができそうだ。付録のエコバッグもパート仲間の“気遣い”だったのかもしれない。しかし、「美奈子さん、良かったわね」と、少しバカにされたような口調で話す他のパート仲間たちに苛立ちを感じたと美奈子さんは語る。
「この前、“貧乏人ほどレジ袋を買うわよね”って話しているのを聞いてしまいました。たしかに金銭的な余裕はありませんが、何か悲しかったです」
それ以来、レジ袋を持ち歩いていると、「美奈子さん、○○さんから貰ったエコバッグ使わないと!」と、言われるようになったそうだ。
「単調な作業の職場ですので、他人のちょっとしたことが気になって仕方がないんですよね……。知らないところでどんなことを言われているか、想像するだけで辛いです」
思わぬ形でトラブルを招いてしまったエコバッグ問題。エコバッグを持つ人も持たない人も、解決すべきは環境問題であり、人間関係にヒビを入れるのは間違いではないだろうか。まずは自分自身が出来ることから取り組んでいってほしい。