新型コロナウイルスの影響で家計にダメージを受けた人は少なくない。あらためて貯蓄の大切さを再認識するようになった人もいるだろう。お金が貯められない人の多くは「自分のお金の流れを理解できていない」ケースが多い。そのため、お金を貯めるには「資産の把握」が欠かせない。
たとえば銀行口座を3つに分けるという資産管理術がある。口座を「入金口座」、「貯蓄口座」「緊急予備資金口座」に分けて、貯蓄口座と緊急予備資金口座に設定額を振り分けた後、入金口座に残ったお金を生活費としてやりくりする、というやりかただ。これなら家計簿のようなお金の管理が口座を分けるだけで実現できるようになる。
もっとも「口座は複数持っているけど、お金は全然貯まらない」と思う人もいるかもしれない。実は、3つ以上の口座を持っている人は全体の7割以上と意外にも多い(インターネットリサーチ会社「マイボイスコム」の調査)。しかし、複数の口座を持つ人の中で、資産管理のために目的別で口座を使い分けている人は3割しかいない。
「以前住んでいた家からATMや店舗が近かったから」「学生時代のアルバイト先でバイト代の振込先の銀行を指定された」といった理由で口座を作ったものの、そのままにしている人も多いのではないだろうか。もし、すでに口座を複数持っているなら、それを利用して貯蓄を始めるのも有効な手段だ。ファイナンシャルプランナーの横川由理さんはこう語る。
「私が相談を受けた人の中にも、お金が貯められなくて悩んでいたのに、口座を分けただけで貯蓄ができるようになったと、うれしい報告をいただいたこともあります」(横川さん、以下同)
いいことずくめで、まさに「魔法の貯蓄術」といえる口座を分けるだけ貯蓄術だが、注意したい点もある。まずは、毎月複数の口座に入金する手間が発生することだ。
「基本的に、1つの銀行に開設できるのは1つの口座のみ。いくつかの口座を持つには複数の銀行で口座を開設し、その管理をする必要があります。私も以前から口座の使い分けをやっていましたが、かつては給料日にお金をおろして2つの銀行をはしごして入金していました。給料日はどの銀行も混んでいるし、雨の日は本当に大変でしたね(笑い)」