7月8日、日本でもスーツやネクタイなどで一世を風靡したアメリカのアパレルブランド、ブルックスブラザーズが「チャプター11」(米連邦破産法11条)を申請、経営破綻した。イギリスのアクアスキュータム、ローラアシュレイも、日本のレナウンも倒産した。いずれも経営は順調ではなかったが、そこに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスのパンデミックである。
各国の直近1-3月期の成長率は軒並みマイナスに落ち込んでおり、このパンデミックは景気に大きな悪影響を与えている。セクターでみると、バイオ医薬、クラウド、ネットゲーム、ECといった少数の勝ち組業種を除けば、負け組が多い。航空業界などはその最たるものであるが、アパレルも厳しい。外出自粛では新しいファッション衣料を買ったとしても着ていく機会が少ない。所得の減少、雇用への不安などから消費意欲が上がらない中で、特に衣料品が真っ先に消費者の購入リストから外されてしまうことは理解できる。経営破綻が相次ぐのも無理はないだろう。
こうした逆風の中にあるアパレル業界にあって、株価が過去最高値更新ペースを続けている企業がある。カナダ・バンクーバー発の高機能アスレティックウェアブランドのルルレモン・アスレティカ(LULU・米NASDAQ上場)である。ヨガスタジオなどに併設する自社店舗で顧客との結びつきを重視して、リピーターを主要顧客に置くといった異色の販売戦略で規模を拡大してきた。6月にはアジアで最大規模のフラッグシップストアを東京・六本木ヒルズにオープンさせている。
株価は今年3月に128.85ドルの安値をつけたが、そこから反転上昇、6月には過去最高値となる324.76ドルとなった。足元では横ばいの動きとなっているが、依然として300ドル台の高値圏での推移が続いている。
新型コロナウイルスの流行で、ヨガへの注目度も増す結果になっている。CNNの報道によれば、インドのモディ首相は6月21日、国際ヨガの日に演説を行い、「呼吸法の修行は呼吸器官の正常な状態に繋がる。ヨガは免疫機能や新陳代謝を促し、新型コロナ克服に貢献する」と発言している。ヨガには、健康に良いといったイメージがグローバルに定着しているといえよう。日本でも、自宅でのトレーニングが静かなブームになっている。自宅にいてユーチューブを見ながらヨガを行う人も多いようだ。