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業績低迷が長期化するキヤノン コロナだけが要因ではない?

業績悪化から抜け出せないキヤノン(写真/時事通信フォト)

 時代や景気の移り変わりとともに、企業を取り巻く環境は絶えず変化する。30年以上にわたり、さまざまな企業を取材し続けてきた経済ジャーナリストの和島英樹さんが、今注目の企業・業界の動向を分かりやすく解説する。今回は業績低迷が続くカメラ・事務機器大手のキヤノンについて。

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 新型コロナウイルスの拡大で、大手企業の業績にも深刻な影響が出ている。グローバルに事業を展開し、優良企業と目されてきたキヤノンもその1社である。パンデミックによる工場停止、稼働率低下に加え、テレワークを中心とした働き方が定着する中、同社のオフィス向け複合機の需要も低迷、外出自粛や旅行者の減少で一眼レフカメラの出荷台数も伸び悩んでいる。

 キヤノンがこの4月に発表した2020年度第1四半期(1~3月)の売上高は前年同期と比べて9.5%減の7823億円。営業利益も同18.7%減の約329億円となった。減収幅の6割がコロナの影響によるものという。同社は「新型ウイルスの拡大により様相一変」、「世界経済は大恐慌以来の深刻な危機」であるとし、当初通期の売上高を前期比3%増の3兆7000億円、営業利益も同32%増の2300億円と業績回復の見通しを立てていたが、今回の発表で業績予想自体を取り下げた。

 しかし同社の場合、業績低迷の要因はコロナだけではない。コロナの影響がまだなかった2019年度においても利益が激減し、業績の下方修正を繰り返しているのだ。2019年度は、期初に営業利益3250億円を見込んでいたが、四半期ごとに3度の下方修正を繰り返し、最終的に計画を46%も下回る1746億円(前年比49%減)で着地した。景気の減速でカメラやレーザープリンターの市場が縮小したことが主な要因という。

3度目の社長就任となった御手洗氏

 だが、カメラ事業はソニーや富士フイルムホールディングスも手掛けているし、事務機大手も同社だけではない。キヤノンならではの事情もあるのではないか。その1つとして指摘されるのが、1995年以降事実上トップに君臨し続けている御手洗冨士夫会長兼CEO(最高経営責任者、84才)の存在だ。

 キヤノンはこの5月に、御手洗氏が社長を兼務するというトップ人事を発表した。前社長の真栄田雅也氏(68才)は「健康上の理由」で辞任を申し出たとしているが、創業家である御手洗氏の社長就任は3度目。「異例」の就任として注目を集めている。

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